『子供音(こどもね)』について

「音楽に元気がない」と言われて久しい2015年秋、
ぼくは「本当にそうかな?」と疑問に感じていた。
 
たしかにCDなどのコンテンツが売れなくなって久しい。
テレビにはヒット曲はなく、CDショップもどんどん少なくなった。
でも以前よりも人々はライブには頻繁に足を運ぶようになり、
イヤホンからはたくさん音楽が溢れている。
 
きっとこれからの子供たちも音楽は大好きだろうし、
歌いたい歌があれば、ぼくたちと同じように一生懸命覚えて歌うだろうなあ。
 
それを確かめたくて,ぼくは友人が教えている
小学校の高学年女子の音楽クラブのこども達と、一緒に曲を作ってみようと思った。
その頃卒業式シーズンも近かったので、勝手にタイトルを「君に会えてよかった」とつけた。
 
歌詞も子供たちと一緒に考えて、一生懸命歌ってくれて、ちょうど卒業式の頃に無事完成した。
 
案の定、彼女たちはレコーディングをとても楽しんでくれたし、
いつもその曲を何かあるたびに歌いたいと思ってくれているらしい。
 
その曲は校長先生が「毎日給食の時に流そう」とおっしゃってくれて
「学校」という小さなコミュニティではあるが、彼らのヒットソングになった。
 
その経験を生かし、次に取り組んだのは筑豊の小さな町、
糸田町の移住定住プロジェクトのテーマ音楽を町の小学生、中学生と一緒に曲を創り、
その歌を通して糸田の素晴らしさを伝えようということ。
 
今回は10月に小学校4、5、6年生総勢200人以上で歌ってくれた。
 
今回もみんなでしっかり憶えて歌ってくれたし、本格的なレコーディングは、
みんなが誇りを持てる経験になったんじゃないかなと思っている。
 
収録が終わった後、機材を片付けていると一人の女の子がやってきて
「来年もレコーディングあるの?」って、とても心配そうにぼくに聞いた。
 
その子は小学3年生。いつもお姉ちゃんやお兄ちゃんの歌を聴いて
既に憶えちゃったようで、来年は自分たちが歌いたいと思っているようだった。
 
できればそういう経験を、子供たちにたくさんの音楽を作る機会を与えてあげたい。
 
作曲をするという行為も作詞をするという行為も
経験を積めば決して難しくないもので,
むしろ出来るようになると、何てワクワクする行為なのだろうって
きっと思ってくれるはずだってその女の子の目を見て感じた。
 
だから、子供たちと一緒になって音楽を創るという、
今までぼくがやってこなかったことを一つずつ丁寧にやっていこうと決意した。
 
それが、A-HEAD RECORDSとしての音楽の未来への大きなテーマ、
『子供音(こどもね)』プロジェクトのきもちなのだ。
 
つまり、自分たちのヒット曲を子供たちみずからが
ぼくと一緒になって創るプロジェクト。
それが『子供音(こどもね)』プロジェクトです。
 
 
2016/11/16 
 
A-HEAD RECORDS 堤秀樹