息抜きに世界デジタル音楽市場を数字で眺めてみる

福岡で音楽のエコシステムを繁栄させるための仕組み作りの準備作業を一つひとつこなしていますが、こういうこまごまとした作業をしていても、一息ついた時などには一歩下がって広い視野を持ち、音楽産業全体のことを考えてみる気持ちを忘れたくないですね。

国内の産業レポートなどは日本レコード協会などが発行していますが、将来はコンテンツ配信やレーベル活動などで国内はもちろん世界の市場に対しても切り込んでいきたいA-HEADとしては、地球レベルの視点でも市場を眺めてみたいと思います。

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国際レコード産業連盟発表(IFPI)によるレポート”Digital Music Report 2013”が2月26日公開されました。これをもとにThe Economist誌が世界の音楽売上に関する記事を3月2日に発行。この記事によるとCDなどのPhysical媒体によるレコード売上の低下はまだ続いていますが、ダウンロードやストリーミングなどによるDigital媒体の成長は続いており音楽産業全体の地盤沈下はおさまってきているようです。CD売上の緩やかな減少は今後も続くでしょうが、デジタル媒体における様々なイノベーションがさらなる産業全体の成長につながると嬉しいですね。

ところで、このThe Economistの記事では「CD売上は減少を続けている(日本と韓国を除いては)」と書かれています。えっ?日本もCD売上は減少してるんだけど・・とツッコミたくなるのですが、世界規模の変化と比較すると大したことないということでしょう、少なくとも今の段階では。日本の音楽産業は2005年あたりから始まった世界の音楽市場におけるデジタル化による破壊的イノベーションの影響が比較的小さく、ダウンロードにも未だ多くの制限があり、ストリーミングサービスにおいてはほとんど発達していない特殊な市場です。国内市場に対する考察はまたの機会にして、IFPIがレポートした2012年度の世界市場のデジタル音楽トレンドのいくつかを数字を見ながら感想を。

まず、「音楽ってまだ全然スゴイじゃん!」と思わせてくれる統計から。

YouTubeで視聴されるビデオの10本に9本は音楽ビデオ!

Facebookの「いいね」数においてTop 10の9人は音楽アーティスト!

Twitter で最もフォローされてるユーザの10人に7人が音楽アーティスト!

ソーシャルととっても相性のよい音楽でした。

さて次は分野別の成長です。ダウンロード売上は+9%と成長してますがそれよりすごいのは購読(ストリーミング) 売上です。2012年は+44%の成長を記録し、現在有料ユーザー数は2000万人を超えています。成長はまだまだ続きそうですね。

これらデジタルサービスの海外進出もこの数年で急速に進んでいます。iTunes、Spotify、Deezerなどのデジタルサービスは2011年には23カ国で事業化されていましたが、今日では100国以上で展開されています。

インド、ノルウェー、スウェーデン、米国などではデジタル売上ばCD売上を上回り、今後も多くの市場がこれに続くでしょう。世界平均ではデジタル売上はまだ全体の3分の1です。

イタリア、スペイン、スウェーデンではアルバム売上トップ10のうち8位までは、ローカルのアーティストによるものです。やっぱり、心に響くのはその土地の言葉、人なのでしょうかね。

20か国におけるソーシャルメディア調査によると「音楽」のことを67%のソーシャルネットワークユーザーが話題にします。これは「社会」の46%、「スポーツ」の43%、「政治の」34%を大きく引き離しています。

僕たちは音楽のこと話すことが好きなんですね。あらためて気づかされました。

音楽市場はグローバル化しているとはいえ、それは主にデバイスや配信サービスのことです。リスナーに関しては標準化は進行中ですが比較的限定的です。音楽は機能ではなく感情に連動する言語や文化などの影響が強く、国別のリスナーの嗜好の違いなどを感じざるをえません。市場ごとに丁寧に攻めていくことを心がけたいですね。

さぁ息抜きはおわりです。仕事、仕事。