βTune 構想

βTune(ベータチューン)とはA-HEAD RECORDSが内部で「開発版音楽作品」の代わりに使っている言葉です。最終的に収益目的で正規版としてリリースされる作品に対して、「開発段階」の作品と位置付けています。

他業界で製品やサービスを開発段階でリリースする時に、それらはβ(ベータ)版と呼ばれます。β版のリリースの目的は様々ですが音楽と関連性が高いのは次の二点です。

① 「評価を得る」:β版製品は業界専門家やヘビーユーザーに試用してもらえるため、β版製品が高い評価を得ると正規版が評判とともに市場に浸透しやすい。

② 「改良する」:β版製品を試用してもらうことによりユーザーからフィードバックをもらい正規リリース前に製品を改良できる。

「正規作品を制作する予算ができるまで待つのではなく、どんどん開発版を作って行きましょう。今のアイデアを形にしましょう。ファンからの反応を聞きましょう。将来同じ曲を何度も違うバージョンでレコーディングすることがあってもいいじゃないですか。アーティストが自身の作品を作る能力は作ることでしか磨かれないのですから。」 βTune 構想はこのような考えで始まりました。

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βTune レコーディングの打ち合せ中の伊藤広規氏と堤秀樹氏

A-HEAD RECORDSは今年2月から活動を始めたばかりですが、幅広い音楽関係者との交流に恵まれ、その中で九州の素晴らしい成長ポテンシャルのあるアーティスト達ともつながり続けています。

月に1本でも2本でも大きなポテンシャルを感じる地元アーティストに対しβTuneを制作する。その中でアーティストが自身の作品制作能力を高め、作品をファンコミュニティ拡大の為の高品質なツールとして役立ててもらいたい。アーティストも制作者も互いの能力を持ち寄り時間を投資することで経済的予算をかけずに作品という形にしていくという考え方です。

米国レコード会社のアーティスト発掘活動の契約方法の一つに「DEMO DEAL」や「DEVELOPMENTAL DEAL」などがあります。DEMO DEALとはレコード会社が約$10,000(約100万円)の予算を使い開発版音楽を作り、アーティスト作品がプロ録音環境でどのような音になるかをレコード契約前に判断します。DEVELOPMENTAL DEALにおいては約$50,000 (約500万円)を使い実際にマスターを2曲ほど作成し、それをリリースするかどうかをレコード会社自らのリスクで判断します。

DTM技術の発達で以前ほどこのような契約は少なくなりましたが、だからこそアーティストは自分達でどんどん作品を作っていかないといけないのではないでしょうか。

平均的リスナはレコード全盛時代と比較してクラブやライブハウスのようなリアルな社交場からコンピューターや携帯に滞在時間をシフトしています。

PCや携帯で積極的に聴いてもらうには「音楽ファイル」形式の作品が必要です。ファンとつながり、関係を維持することが可能なソーシャルツールを持つ現代において高品質の作品ファイルは強力なコミュニケーションツールとなります。

自らのファンコミュニティが数十人規模のうちはライブやイベントを通して人対人の心の通った熱いコミュニケーションとともに作品を伝えることがが可能です。しかし、ファンベースを数百人、数千人と市場の中で伸ばしていきたいと願う時にはだかるのが、作品が「思いを伝える」作者不在でも自らを伝えていかないといけないという現実です。

この現実の厳しさを感じるには私達が突然セールスの電話を受け取った時にとる対応を思い浮かべるだけで十分でしょう。作品が新しいリスナーと出会いそこで勝負する時に試されるのが全人格的(全音楽的?)な質です。そこにはアーティストの表現したいことや表現方法、オリジナリティなどの他にアーティストが一般的に専門としていない要素があります。それは「聞きやすさ」、「記憶しやすさ」、「響き方」などここでは無理して言葉にして書いてますが実は言語化がとても難しい要素で、またリスナーにとっても答えはひとつではありません。

アーティストと素材を作品に落とし込むことを支援するのが制作者いわゆるプロデューサーの役割の一つではないかと思います。そしてA-HEAD RECORDS のβTune作品はその市場テストに耐えうる品質を常に維持していきたいと考えています。

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構想の段階から発表もせずに動き出すのが僕達の癖ですが、今週末は伊藤広規ベースワークショップのプログラムの中でA-HEAD RECORDS代表の堤がプロデュースするβTune2作品に対して伊藤氏がベースを録音していただけることになっています。この構想に寛大な気持ちで相乗りしてくれた伊藤氏の気前の良さに感謝でいっぱいです。

またこの企画を「構想」としているのも、色々な方々が多様な能力や資源を持ち寄って参加していただけるとさらに価値ある「企画」へと成長すると信じている故です。

A-HEAD RECORDSは今後は定期的にβTune作品を発表させて頂きます。βTune作品のアーティスト達を応援してください。よろしくお願いします。

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  1. ピンバック: 伊藤広規 ベースワークショップ後記 | A-HEAD RECORDS