功罪

ー功罪ー

昨日のオーディション最終日。
13時から17時半までぶっつづけで初めてお会いするボーカリストやボーカリストを目指す皆さんとご一緒させてもらいましたが、実に楽しく有意義な時間を過ごさせてもらいました。

なんでこんなに充実感があるのだろうと考えたら、やっぱり自分の若い頃と重ねあわせてみんなを見ているからなんだと思います。

未だにぼくは挑戦者で居続けてる実感をもってますが、みなさんはそれこそ天然物の挑戦者たる人たちなのでそういう人と話しているのは実に楽しいです。

また時間が押しているにも関わらずぼくの自称「有り難いお話」wをみなさん聞かされるんですけどみんなきらきらした目をして聞いてくれるのがまた嬉しいんだと思います。

帰ってからメッセージみると数人は感謝の言葉を贈ってくれてました。

この場を借りてみなさん本当に歌いにきてくれてありがとうございました。
全員に「またいつか必ずお会いしましょう」と言いたいですね。

この中から今日にも松浦晃久ワークショップでレコーディングに参加して頂くボーカリストと、最低一年間A-HEADが想いを込めて育てたいというアーティストを選びたいと思います。

愉しみにしていてください!参加のみなさん一人一人に結果報告したいと思ってます。

今日はぼくの自称「有り難いお話」の一部をお話ししますが、それは皆さんの中には少し耳の痛い話しになってしまうかもしれないお話です。

つまり、ボーカリストに話しておかなければならない話しのひとつには歌に向かう態度というものがあると思うのですが、この15年近くかけて進歩した技術のひとつにピッチ修正という技術があります。

ご存知の通りこれはへたくそな歌をピッチだけでも修正して一応商品レベルにしようというものですが、この技術は1998年の宇多田ヒカルの日本のレコードビジネスのもうこえることが出来ない最高潮800万枚を売り上げた[First Love]の少し前から始まり、エンジニアのGo Hotoda氏の当時のインタビューのなかでたしかに歌いだしを歌ってるよりも少し早い時間で正しいピッチにあてるようにするくらい最小限で使っているという記事を読んだ記憶があります。

まだその直前まではその技術は無かったのですからそれ以前にデビューしている歌手のみなさんは当然ピッチについてとても気を使って練習を重ねてきてます。そしてそういう技術があるならと、基本的に上手い歌を最後少しだけ修正をほどこしてより完成度の高い作品を生み出す為に使っていた訳です。

ところが17、18年後の今日まで歌修正の技術はどんどん高くなる一方、そのことを知っている歌手はどんどんへたくそになっていっているのではないでしょうか?もちろんへたくそばかりではなくとんでもなく上手い歌い手も現れているのは承知していますが、相対的にはかなりへたくそになっていますよね。

このことはその98年からレコード業界が少しずつ奈落の底に落ちて行った曲線と見事に合致します。

もちろんiTunes, Youtubeなどで音楽が伝わる方法の一大革命があったのも同じ時期でありますからそれも一原因ではありますが、音楽家たちはまず原点に帰って襟を正してもう一度良い音楽を目指す必要があるんじゃないでしょうか?

ぼく自身ももちろん随分当初お世話になることもありましたがここ数年は全く使っていません。
去年創った敲唱、宮崎たかしさんや神人さんのCDは全く使っていませんし、
普天間さんのハレルヤも既に使っていませんね。

使わない場合部分的に直したいなっというところがあっても全体聴いた感じは気持ちいいですし、本人達もその覚悟で臨むのでいい歌を歌ってくれます。

もちろんぼく自身の技術はかなり高度なものをもっているわけなのですが敢えて使わないことにしているということです。

大体これをやる場合ボーカルセレクトの他に、次の日一日かけて修正するような事態にもなりかねなく、はっきり言ってその時間があるのなら今はもっと自分の時間を有意義に使いたいと思っています。

東京の方から、「堤〜そういうなよ!おれたちもやりたくてやってんじゃね〜よ〜」という声が聞こえてきそうですがw

百歩譲って、やんなきゃ仕事が成立しない人は置いといても、福岡は現在それを頼んでくるDとかいないのに、これはプロとして必要な技術だから憶えなきゃ駄目だと言う教育があるとすればそれはちょっとどうなのかなと思いますね。本当に必要ならそんなことはすぐに憶えられるだろうし、教えなきゃいけないことは他にいっぱいある筈ですもんね。

功罪。。

このことについてぼくらはもっときちんと考えないとそろそろ駄目な時間帯に入ってきてますよね。

コンビニ文化で育った人の功罪。なんでもシュミレートで出来てしまうことへの功罪。原発を再稼働してしまうことの功罪。等々。。

現代社会はそのツケをいつか払わされることになるでしょうけど、気がついた人から変えて行ければいいなといつも思いますし、こういう考えを勇気をもって伝えられる大人になりたいといつも思っていますよぼくは。

そして自分達が大好きだった音楽をみんな一丸となって守りたいですね〜どうですかみなさん?!

A-HEAD RECORDS 堤秀樹